嫌疑不十分

少年事件は,全件,家庭裁判所に送致するのが原則です。

例外は,「嫌疑不十分」の場合です。

例えば,父親から母親が激しい暴力を受け,母親の生命の危険がある場合に,少年がトロフィーを掴んで父親の後頭部を一撃して,殺害する行為は,正当防衛です。

このケースでは,「嫌疑不十分」として処理されます。

検察庁で,嫌疑不十分とした案件は,家庭裁判所に送致されることはありません。

少年が,成人した後に,この殺害行為が発覚した場合,正当防衛として,「罪とならず」あるいは「嫌疑不十分」です。

要するに,少年時に保護処分や刑事処分を受けることはあり得ませんし,成人後,刑事処分を受けることもありません。