運転不適格者

過失犯の厳罰化に犯罪抑止効果があるのだろうか?

30年前の交通死亡事故の相場は,罰金50万円。

20年前は,禁錮1年。

最近では,さらに加重ポイントが重くなり,赤信号無視・脇見・横断歩道上など加重ポイントが付けば禁錮2~3年は免れない。

だが,あくまで過失犯=ウッカリした状態での事故である。

故意の殺人であっても,厳罰化による犯罪抑止効果は疑問が残るのに,ましてやウッカリ犯を厳罰化しても交通死亡事故が減少するとは思えない。

但し,大量に交通事件を処理していると気がつくことがある。

通常,交通関係過失致死傷事件を犯すことは,一生に一度あるかないかである。

ところが,これを二度三度と繰り返す者がいる。

すなわち運転不適格者というべきグループが確実に存在する。

免許取消+欠格期間という行政処分によっても防ぎ得ないグループである。

運転不適格者を早期に見分けて,行政的に欠格処分とするすべは,おそらく見いだしがたいのであろう。

だが,悲惨な交通関係致死傷事件防止のために,致死傷事件2犯目以降は,さらに行政処分(欠格期間)を厳格にする方策があって然るべきであると思う。