憲法改正?
色川大吉先生に「明治精神史」・民衆憲法の創造という著作があります。
千葉卓三郎の自由民権思想を背景とした五日市憲法など地方で考案された明治憲法草案などなど,明治22年憲法以前に,様々な議論がなされたことが解ります。
ところが,後世から「平成精神史」と名付けられる著作が編まれるとするならば,そこにあるのは読売新聞草案と自由民主党草案だけでしょう。
憲法改正の是非を巡る議論はあるが,内容に関する議論はない。
せいぜい環境権を明文化するか否かが議論されているが,人格権として保障されていると解すれば足りる。
加憲論といわれるようです。
とりわけ,自衛隊加憲論までもが,はびこっているように思えます。
だが,立ち止まって考えて欲しい。
自由民権思想は,本当に日本国憲法で実現されたのでしょうか。
憲法の条文が,どれだけ現実化したのかという視点で物事を考えては如何でしょうか。
憲法は,勤労の権利を保障する(27条)。
憲法は,教育を受ける権利を保障する(26条)。
それでは,なにゆえ,奨学金破産が生じるのか。
自由という原理,すなわち強者の自由は憲法が保障している。
だが,平等という別の原理はいったいどこにさまよっているのでしょう。
法の下の平等(14条)という原理は失われた。
そして,格差社会なるおぞましい原理が社会に蔓延している。
大本教教祖出口なをであれば,かように宣言するでしょう。
「艮の金神が現はれて,三千世界の大洗濯を致すのじゃ」。