ストレス

①ストレスで,胃が痛む。

これは,日常生活でも用いる慣用句になっているようです。

②ストレスで,夜眠れない。

これもまあまあ認識されているように思います。

③それでは,ストレスとうつ病の関係については,どうかというと,△印のようです。

うつ病のエピソードには,一般的に重大な生活上のストレス(特に離別および喪失)が先行するが,気分障害の素因をもつ人を除いて,通常,そのような出来事により,持続的で重度のうつ病が生じることはない。

TITLE:抑うつ障害群 - 08. 精神障害 - MSDマニュアル プロフェッショナル版

URL:http://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/08-精神障害/気分障害/抑うつ障害群

④さらにストレスと癌との関係について,先日引用した心理免疫学概論181ページには,「北アメリカにおいて,さまざまなタイプおよびステージの成人病患者を無作為に選抜し,心理疾患の有病率を調査した。彼らは,これらの患者の47パーセントもが,診断可能な心理障害(最も一般的なのは適応障害)を患っていることを明らかにした。」と記載されております。

もっとも,この記載は,癌によって心的障害が引き起こされたと読むべきであり,ストレスによって癌が発症ないし憎悪したとまでは記載されておりません。

また,同じページに,「乳癌女性の4分の1ないし3分の1が,手術を行った年に臨床的に有意な不安,抑うつや性的機能不全を経験したことを明らかにした。」との記載もありますが,ストレスと乳癌の因果関係(どちらが先なのか)がはっきりしません。

あるいは,ストレスが,胃炎の原因のひとつとなっていることは,上記MSDにも書かれておりますが,胃がんの原因となる可能性については,記載が見当たりません。

ところで,東洋医学・針灸の世界では,このような説もあります。

くも膜下出血や,脳腫瘍,諸種の頭痛を経験してきたが,これらは特有の症状が発現するので容易であるし,この無血刺絡とは無縁である。

無縁であるとは言ったが,仮説として脳腫瘍もストレス→交感神経緊張→脳の血流不全(虚血)→脳細胞の組織破壊→脳腫瘍の発生という図式が成立するのではないかと思う。

これも無血刺絡の頭部(H/B-P)刺激で改善していきそうな予感がする。」長田裕著・無血刺絡の臨床193ページ。

やはり,現段階において,ストレスが癌の発症原因や憎悪要因となると考えるのは,可能性ないし仮説レベルのようです。