「民事は,全部,否認事件」

「民事は,全部,否認事件」

ある訟務部長の言葉です。判事歴約30年の方です。

もっとも,この訟務部長の発現は,検事によってお膳立ての整えられた刑事事件よりも,頭を酷使する民事事件の方が面白いという趣旨のようです。

ごく単純な貸金返還事件,例えば100万円貸した,期限が来た,返して欲しいという事件だって,①借りてない,②借りたけれども返したという反論があり得ます。

よんどころなき方であっても,借りたのではなく,贈与を受けたのだなどとの弁解があるそうです。

かような事件をみていくと,日本人正直者説が根拠を失いそうですが,事件となるのは一握りであるし,大部分の事件は分割弁済の和解が整って終結するようです。