外国人はウソツキ?

外国人はウソツキ?

事実と倫理を同一的に捉える我が国民にとって,これを分離する外国人の発想法が理解できず,ウソツキというレッテルを貼ってしまいがちです。

大昔,外国人の大量密入国事件がありました。

調べを進める内に,「パスポートを所持せずに入国したこと」で処罰されそうになっていることが解ったようです。

そこで,知恵者が現れます。本国で,パスポートなど貰っておらず,もちろん所持しておりません。

では,どう言い繕うか。

「パスポートは,日本に上陸したら渡して貰う約束だった。」と弁解しました。

一生懸命に考えたのでしょうが,弁解になっていません。

「パスポートを所持せず入国」という法律構成なのですから,少なくとも入国する時点で,適法なパスポートを所持している必要があります。

しかるに,我が国は,四方を海に囲まれた島国です。

もし,この弁解を完成させるならば,領海に侵入する前の公海上で(少なくとも領海線前で)パスポートを渡して貰う約束だったというところまで徹底させるべきでしたね?

但し,この「上陸後にパスポートを渡して貰う。」説は,瞬く間に広がりました。

当時の日本円にして50万円余りの渡航費用を蛇頭と呼ばれる密航あっせん組織に渡して密入国してきたのですから,必死になるのも当たり前です。

外国人が,どうしてこのような影も形もない洋上・瀬渡しまがいの弁解をするのか理解していかなければ,さらに実態に迫ることなどは不可能です。

ウソツキというレッテルを貼るのではなく,故郷での暮らしや福建省の海岸で数日間渡し船を待っていた際の心の内など聞いていくべきであり,ウソツキのレッテルは何の意味もありません。