日本人正直者説の危機

日本人正直者説の危機

15年ほど前,身上・経歴調書(乙第1号証)を採用せずに却下する裁判官が現れました。

身上・経歴すなわち生い立ちに始まって,学歴・職歴・家族構成等々が記載された調書です。

私は,捜査官として,警察から送致された身上調書を補充しました。

さらに,決裁官として量刑(求刑)を決めるのは,この身上調書がポイントです。

これがなければ,再犯可能性など解る道理がなく,また執行猶予がついた場合の帰省先も解りません。

ペラペラの犯罪事実だけで,量刑を決めるなど不可能だと考えております。

さらに10年ほど前からの傾向として,否認事件に対する加重がなくなりつつあります。

否認をすれば,半年から1年加重するという常識が崩れつつあります。

この否認加重は,例えば田宮刑訴でさえ,犯行後の情状として考慮できるはずの要素です。