嬰児殺の量刑基準
かつて,殺人罪の法定刑が,懲役3年以上であった時代には,嬰児殺について,懲役3年を選択し,かつ執行猶予3~5年を付するのが一般であった。
ところが,殺人罪の法定刑が,懲役5年以上と引き上げられてからは,だいぶ様相が異なる。
平成29年9月・山形地裁・懲役5年
平成28年3月・さいたま地裁・懲役4年
平成27年5月・静岡地裁沼津支部・懲役5年6月
最近の裁判例を観る限り,原則実刑である。
法定刑5年以上を,酌量減軽するような事情は見当たらないということなのであろうか。
だが,厳罰化によって防止できるような犯罪類型であるとも思えない。
秘密出産と出自を知る権利との調和など,刑事法廷以外の場で議論を進めた方が,抑止効果は高いと思われる。