思考の残滓

思考の残滓

憲法では,天皇のなすべき仕事は国事行為しかない。

戦前と違い,憲法天皇に国民統合の能動的な役割を求めているわけではないのだから,統合機能を積極的に果たすために天皇が公的行為を行う必要はない。

過重ならばやる必要のない公的行為はやめればよく,国事行為ができないなら,今ある臨時代行の制度を使えばよい。

TITLE:(天皇退位への提言:3)なすべき仕事の整理を 横田耕一氏:朝日新聞デジタル

URL:http://digital.asahi.com/articles/DA3S12719319.html

天皇の行為を,国事行為,公的行為,私的行為に三分類するのが我らが学んだ40年余り以前の憲法学通説であった。

だが,公的行為否定論もあり得る。手元にある「高橋和之著・立憲主義日本国憲法」46ページも,天皇の公的行為を国事行為に限定するという立場である。

横田九州大学名誉教授は,上記公的行為否定説に立脚し,「多くの国民が,憲法上必要のない公的行為を象徴天皇の役割と捉えているということは,戦後の象徴天皇像はいまだに確立していないということではないか。」と立論される。

我らが思考の残滓を払拭された思いである。