強姦無罪・・・和姦を認定

広い意味の風俗トラブルとして,キャバクラ嬢の供述の信憑性が否定され,強姦・強姦未遂被告事件について無罪となった事例があります。

D子の供述によれば,D子は,高校卒業直後から本件発生に至るまでの間,長く水商売と呼ばれる仕事を続け,

本件当時はキャバクラのホステスをしていた二二歳の女性であり,

経験した仕事の中にはアダルトビデオの出演なども含まれていたこと,

同女は,少女時代から本件発生までの間に相当多数の男性と性関係を持ったことが認められる。

また,前記のとおり,D子が本件当日未明に被告人らと酒食を共にしているが,その際,C以外の者とは初対面であったにもかかわらず,性体験に関する会話などをし,その後,Cに誘われるままE方に赴き,初対面の男性四名を含む被告人ら五名と一緒に雑魚寝までしているのである。

このような事情を総合すると,D子は,一般人から見ればかなり自由な性意識を持った女性であるといわなければならない。

 一方,被告人も,乙山でスカウトマンとして働いていた若者で,いわゆる水商売の女性との接触が多かったことがうかがわれる。

 以上のような被告人及びD子の人物像に照らすと,本件当日朝のE方における状況(前記一(4)参照)において,被告人が,周囲の者が眠りに就いた頃合いをみて,抜け駆け的にD子に肉体関係を求めるというのは必ずしも不自然なこととはいえないし,このような求めにD子が応じ,両者合意の下,周囲をはばかりながら性交に及ぶということも,事の次第によってはないとはいえない。

 以上によれば,被告人とD子の性交が合意によるものである可能性を完全には否定できない。

東京地方裁判所・平成14年3月27日判決