記録全件点検主義

冤罪事件の構造

鹿児島地検レベルの小地検では,通常事件について,主任検事と次席検事で,起訴するか否かを決定します。

通常より重い事件(その当時の検事正次第で,例えば求刑懲役7年以上などの基準をもうけます)について,検事正・次席・主任の三名で起訴するか否かを決します。

ここで,かなり重要なことなのだと思いますが,検事正・次席は,事件記録全体を検討するわけではなく,もっぱら主任検事が作成した決裁資料に基づいて,判断します。

要するに主任検事が作成した決裁資料次第・・・筆一本・・・の世界となります。

死刑・無期を求刑する事件については,高検の判断を仰ぎますが,決裁資料次第,筆一本の世界であることは共通です。

例外的に,大地検でしたが,全記録を検討された刑事部長がおられました。

この方は,最高裁判所判事を最後に退官されましたが,おかしな決裁資料など作成を求めませんでした(生の記録本体が頭に入っている)。

この方のように,全記録を隅から隅まで検討し,点検すれば,そう簡単に冤罪事件など発生しようもないと考えます。

犯罪白書をみれば,ひと頃の半数近くにまで処理件数は減少しているのであり,全事件記録検討など容易いことだと考えております。

また,決裁資料・・・検事正・次席検事・主任検事が署名押印したもの・・・を必要的に公判提出する取扱とすれば,提出されている記録と決裁時に検事正・主任検事が頭に描いた事件の構造との食い違いが明らかになると考えております。