セクハラ罪という罪はない。

セクハラ罪という罪はない。

これは,法律が最低限度の道徳規準であることを忘れ去った議論である。

さらに,法律基準が時代と共に変化することを忘れた議論である。

強制わいせつに関する一例を挙げる。

「着衣の上から性器付近をまさぐる行為」について,パンティなど薄い下着の上からであれば,強制わいせつと評価される。

だが,ジーンズの上からであればどうか。

私自身が,30年前に喰らった一部無罪判決である。

生地の厚いジーンズの上からであれば,強制わいせつとはいえないとして,一部無罪判決を喰らった。

だが,状況を良く勘案して頂きたい。

事案は,拉致行為であり,後部座席中央に女性を座らせ,両脇をそれぞれ男性が取り囲んだ状態である。

走行中車両であり,左右を屈強な男性に取り囲まれて,女性が逃げることなど不可能である。

この状況で,ジーンズという着衣の上からであるとはいうものの,陰部付近を男性二人がまさぐったのである。

現在,この事案を強制わいせつで起訴したならば,有罪判決が得られる可能性が高いと考える。

かように最低限度の道徳規準である法律も変化するものである。

そして当然ながら,セクハラ基準も変化する。

大臣は,親告罪うんぬんとも発言したが,法律の素養のあるブレーンがいないということだと思われる。