被害者・加害者二元論

冗談のような話しですが,「被疑者Xのことを加害者,貴方のことを被害者といって説明します。」という警察官調書がありました。

また,相談事に応じていると,「私は,被害者ですよ。」と言い出す人間も結構います。

かような善悪二元論など,価値相対主義者には縁なき衆生です。

まったく落ち度がないまま,通り魔的被害に遭ったのであればともかく,通常の事件では,双方にそれ相応の理由があってもめ事となりあるいはこれがエスカレートして傷害事件となる。

ところが,善悪二元論では,この原因解明に利するところはない。

また,被害者だとか被害者の母親だなどと言い続けると,自分だけが正義であり,これに反する言動は罪悪であり,自分に不利益な裁判など到底受け入れられないなどといった自己肯定主義・自己絶対主義に陥ります。

簡単に言えば世の中の全体構造が見えなくなります。

この被害者・加害者二元論という物言いについては,よくよく考え直した方が賢明だと考えております。