ギャンブル依存症

ギャンブル依存症

1)ギャンブル(パチンコやスロット)で金を失い,サラ金からの取立を逃れるために,家族親戚からの借金や銀行員としての退職金をかき集めて,サラ金への返済に充てる。

さらにギャンブルにのめり込み,サラ金の取立をくらうが,返す金がない。

銀行支店に入り,カウンターを注視して,若い女性事務員が100万円の札束をバックに入れたことを確認する。

女性事務員の背後を付け,バッグを奪って,その顔面鼻付近を殴打する(加療5日間)。

人通りの多い場所であり,現行犯逮捕される。

強盗致傷として送検される。

若い女性の顔面を傷つけた犯行であり,加療5日目の顔面の状況まで写真撮影して証拠保全する。

加療5日間を要する強盗致傷として起訴する。

求刑及び判決とも懲役7年。

5日の傷害であり,前科前歴もないのであるから,強盗罪で起訴し(求刑懲役5年),酌量減軽して懲役3年・執行猶予4~5年とする判断が一般的かも知れない。

しかしながら,ギャンブルにのめり込み,一度債務整理をしたにも拘わらず,ふたたびギャンブル依存の生活から借金を繰り返し,犯行に及んだことを考慮し,求刑・判決とも懲役7年となったものと考える。

2)最近のパチンコやスロットは掛け金額が昔とは大違いである。

20万円くらい勝つことは珍しくない・・・快楽記憶。

その反面,20万円の勝ちを納めるためには,5万円の敗北を6回重ねる。すなわち軍資金30万円を要する・・・不快記憶。

合理的な判断が出来れば,30万円を費やして20万円の勝ちを納めたのであるから,トータルすると10万円の損失であることが理解できる。

だが,ギャンブル依存症となれば,快楽記憶に支配され,不快記憶は忘れ去る。

上記1)の事例のとおり,身を滅ぼし,女性事務員まで巻き込んだ犯罪を犯す結果となる。