事実認定

司法とは,具体的紛争について,適法に事実を確定し,これに法律を解釈適用して解決する国家の作用をいいます。

このうち法律とは,条文及び確立した判例を意味します。少数説を展開したところで採用される見込みはまずありません。その意味で,法律の中身は確定しているといえます。

問題となるのは,事実認定です。

明確な契約書でもあれば,そもそも紛争にはならないのですが,紛争となる多くは覚え書き・念書・仮領収書等々と記載された意味不明な文書やそもそも文書すら存在しないケースです。

ほんの数ヶ月前の事実を確定しようとしても5人いれば5通りの証言があります。

だからといって,多数決で事実を確定するという手法は司法的判断ではありません。

司法的判断(つまり裁判所の心証)については,このような形容詞が付されることを覚えておかれるのが宜しいかと存じます。

証人Aの証言は

1)詳細かつ具体的で

2)(捜査段階・一審)から一貫しており

3)証拠Xに適合し

4)少なくとも証拠Yとの矛盾もなく

5)中立的第三者として体験事実をありのまま証言している

と認められるから信用できる。

だいたいこのような枕詞が付されることが多いようです。