仕事始
仕事始
平成27年1月5日(月)である。
仕事始である。
そこで,年中無休の岡村法律事務所としても,世間様並に仕事始日記を書くのである。
少しは,法律関連の話題が良いかなと考えつつテーマを探す。
普通の人が年賀状を書くときに何人くらいの宛先を思い浮かべるものか▼答えは150人ほどという。
DATE:2015年1月5日(月)
URL:http://www.asahi.com/paper/column.html?iref=comtop_gnavi
この大切な年賀状に対する犯罪があった。
TITLE:ポストに焼き肉のタレ?年賀状など290通汚れる 大阪
まず郵便法違反が考えられる。
第78条 (郵便用物件を損傷する等の罪)
郵便専用の物件又は現に郵便の用に供する物件に対し損傷その他郵便の障害となるべき行為をした者は、これを五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
TITLE:郵便法
DATE:2015年1月5日(月)
URL:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO165.html
郵便ポストは,郵便専用の物件であろう。
ポストを焼肉のタレで汚すこと(損傷は,効用喪失説からは困難とも思える。だが,少なくとも郵便の障害となるべき行為には該当するであろう。)それ自体が,法78条違反であると考える。
刑法犯として,威力業務妨害罪の成立も考えられる。
第三十五章 信用及び業務に対する罪
(信用毀損及び業務妨害)
第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(威力業務妨害)
第二百三十四条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
TITLE:刑法
DATE:2015年1月5日(月)
ポストに焼肉のタレを投げ込む行為は,法233条の偽計あるいは法234条の威力か学者的議論をしても,本件の場合,罰則は共通であるから,実務家はムダな議論はしない。
さらに個々の年賀状について器物損壊罪も考えられるであろう。
(器物損壊等)
第二百六十一条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
(信書隠匿)
第二百六十三条 他人の信書を隠匿した者は、六月以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
TITLE:刑法
DATE:2015年1月5日(月)
個々の年賀状それ自体が,他人の物に該当すると考える。
なお,年賀状を汚す行為を,法263条の隠匿とは評価し難いであろう。
仕事始に際し,頭脳トレーニングくらいのお役に立てて頂ければ幸いである。