はやりやまい
はやりやまい
空気感染(口コミ)もするが,接触感染(もっぱら金銭を媒介とする)の猛威が広く知られている。
他のウィルス同様,宿主が死滅すれば他へ移動し,ヒトという固有種の絶滅まで消滅することはないとされる。
この流行病は,新自由主義あるいは格差社会との別名で広く知られている。
以下,堤未果著:岩波新書版三部作からピックアップして,米国発の流行病が日本へ転移しあるいは将来転移するであろう過程を紹介する。
第1 ルポ 貧困大陸アメリカ
1)フードスタンプで購入可能なジャンク食品過剰摂取に基づく若者の病的肥満
食料品などへの消費税非課税あるいは減税問題はあるが,貧困層にフードスタンプ(食券)を配布するまでには至っていない。
但し,まれに栄養失調による孤独死がある。
一般的に我が国では,年金受給者の生活保護率増加くらいの問題状況であろうか。
2)カトリーナ被災者の放置
福島被災者が放置されていることは広く知られている。
さらに原発事故に絶対の安全基準はないとされながら,現在最高の技術基準適合で良しとされる再稼働問題がある。
天災さらに人災被災者が放置されるのは共通であるようだ。
3)医療破産
我が国においては,国民皆保険の充実が防波堤となっている。
但し,今後の混合診療や医療特区の認可次第で,ウィルス侵入のおそれなしとしない。
なお,我が国の国民皆保険制度と米国のオバマケアとは全くの別物であることに留意されたい。
4)奨学金破産
我が国でも,予備軍多数という状況であろう。
5)ワーキングプア徴兵制
我が国では,アニメオタクなど鍛えるだけ時間と労力のムダだと認識されているようである。
第2 ルポ 貧困大陸アメリカ Ⅱ
1)公教育破綻及び奨学金破産
我が国でも,私立大学と国立大学の授業料を是正すると称して,何故か高額化の方向に向かった。
40年ほど前,年間36,000円であった学費が,今や年間50数万円である。
2)崩壊する社会保障
非正規労働者の増大など,すでにウィルスに侵入されている。
3)医療改革
現在の安心が何時まで続くかという問題状況であろうか。
4)刑務所労働民営化
これは,我が国では顕在的な問題とはなっていないようで,むしろ適切な刑務作業探しの問題がある。
第3 株式会社 貧困大陸アメリカ
もっぱら遺伝子組み換え作物の問題である。
我が国では,食の安全という側面で語られ,未だ心理的抵抗が強いという防波堤がある。
ところが,遺伝子組み換えの問題は,種の開発,その種に適した肥料・農薬,いったん,その種の栽培を開始したならば旧来作物栽培に復帰することは不可能ないし困難であるという問題である。
種の開発に始まり,将来的栽培まで包括した知的財産権の問題と捉えるのがふさわしいようである。