いじめと自殺の相当因果関係を否定した事例

相当因果関係の範囲を厳格に解して相当程度減額した事例

判例番号】 L07150198

       損害賠償請求事件

【事件番号】 神戸地方裁判所判決/平成25年(ワ)第2446号

【判決日付】 平成28年3月30日

【判示事項】 県立高校に在学中に自殺した生徒の両親である原告らが,自殺の基因である「いじめ行為」をした同級生(少年ら),担任教諭,校長及び県を被告として,賠償を求めた事案。裁判所は,被告少年らの,生徒を「ムシ」と呼び,蛾の死骸を机に置くなどの行為は「いじめ」に該当し,不法行為を構成し,被告担任教諭及び校長らは,漫然と本件いじめ行為を発見するための措置を講ぜず,これを放置したもので,国賠法上違法であるとし,本件いじめ行為等と自殺との条件関係(事実的因果関係)は認めたが,相当因果関係は認められないとして,被告少年ら及び被告県に対する慰謝料請求の一部を認容した事例

【掲載誌】  LLI/DB 判例秘書登載

       主   文

 1 被告Y1,被告Y2及び被告Y3は,原告X1に対し,被告県と連帯して50万円及びこれに対する被告Y1は平成25年12月22日から,被告Y2及び被告Y3はいずれも同月21日からそれぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 2 被告Y1,被告Y2及び被告Y3は,原告X2に対し,被告県と連帯して50万円及びこれに対する被告Y1は平成25年12月22日から,被告Y2及び被告Y3はいずれも同月21日からそれぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 3 被告県は,原告X1に対し,75万円(ただし50万円の限度で被告Y1,被告Y2及び被告Y3と連帯して)及びこれに対する平成25年12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 4 被告県は,原告X2に対し,75万円(ただし50万円の限度で被告Y1,被告Y2及び被告Y3と連帯して)及びこれに対する平成25年12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 5 被告県は,原告X1に対し,30万円及びこれに対する平成25年12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 6 被告県は,原告X2に対し,30万円及びこれに対する平成25年12月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 7 原告らの被告Y1,被告Y2,被告Y3及び被告県に対するその余の請求並びに被告Y4,被告Y5及び被告Y6に対する請求をいずれも棄却する。

 8 訴訟費用は,原告らと被告Y1,被告Y2及び被告Y3との間においては原告らに生じた費用の7分の3に同被告らに生じた費用を加えたものを50分し,その1を同被告らの,その余を原告らの各負担とし,原告らと被告県との間においては原告らに生じた費用の7分の1と同被告に生じた費用を加えたものを40分し,その1を同被告の,その余を原告らの各負担とし,原告らと被告Y4,被告Y5及び被告Y6との間においては原告らに生じた費用の7分の3と同被告らに生じた費用を加えたものを全部原告らの負担とする。