ウソ伝承

新共同訳・マルコ書で空想をたくましくする。

1:マルコによる福音書/ 14章 03節

エスがベタニアで重い皮膚病の人シモンの家にいて,食事の席に着いておられたとき,一人の女が,純粋で非常に高価なナルドの香油の入った石膏の壺を持って来て,それを壊し,香油をイエスの頭に注ぎかけた。

マルコによる福音書/ 14章 51-52節

一人の若者が,素肌に亜麻布をまとってイエスについて来ていた。人々が捕らえようとすると,亜麻布を捨てて裸で逃げてしまった。

1:マルコによる福音書/ 15章 46節

ヨセフは亜麻布を買い,イエスを十字架から降ろしてその布で巻き,岩を掘って作った墓の中に納め,墓の入り口には石を転がしておいた。

ベタニア(地名)の塗油に登場する,ナルドの香油とは,本来インドに由来する植物だそうです。

亜麻布あるいは亜麻仁油という言葉が頭に焼き付いている為,つい勘違いをしそうなところです。

ベタニアの塗油伝承自体は,一人の女がイエスの頭にナルドの油を注ぎました。弟子達がもったいないことをするなあと文句を言ったところ,イエスがこの女をかばったという話です。

これがヨハネになると,マリアムが高価な本物のナルドスの香油を1リトラ持って来て,イエスの足に塗り,自分の髪の毛で彼の足をぬぐったという色っぽい話として伝承されます。

亜麻布をまとった若い男が裸で逃げたというのは,福音書記者マルコ自身を指すという説がありますが,本当のことは解りません。

エスの遺骸は,亜麻布で巻かれたようです。

では,亜麻仁油と亜麻布との関係ですが,亜麻を絞ると亜麻仁油が生成され,亜麻の繊維を原料とした織物の総称が亜麻布だということのようです。

ナルドの香油と亜麻仁油とは,無関係のようですね。

ナルドの香油を,油注ぐと,香りが部屋一面に広がるようですが,亜麻仁油は,ほとんど香りがありません。