万が一の逮捕・勾留に備えて

万が一の時のために

①72時間の逮捕時間中に釈放されるか,②10日間の勾留が加わった段階で罰金刑となり釈放されるか,あるいは③勾留延長されて逮捕から23日目に公判請求されるかは,職場や家族を失いかねない切実な分岐点です。

取調中にいかなる供述をするかで,取調時間は短縮され,逮捕・勾留の期間が短くなる可能性があります。

1)強制わいせつ

「乳房をもみました」では,暴行罪(不法な有形力の行使)です。

強制わいせつ罪の成立には,性的満足の充足のためという要件があります。・・・最近の最高裁大法廷判決で改められましたが,早期釈放のためには,積極的に認めた方が簡明です。

したがって,「スケベ心から,乳房をもみました。その間,陰茎が勃起して,自分でも十分に性的快楽を満たすことが出来ました。」などと供述すれば,取調時間は短縮されます。

このような供述に加えて,十分な被害弁償をし,被害者から嘆願書まで得ることが出来たならば,そして,強制わいせつの態様次第では,起訴猶予の可能性がないわけではありません。

2)酒気帯び運転

「酒を飲んで車を運転しました。」では,全く不十分です。

酒気帯び運転は,故意犯であり,「身体にアルコールを保有していることを認識・認容しながら,あえて車両を運転すること」が要件だからです。

このあたりは,「焼酎を生に換算すると2合余り飲み,自分でも酒が全身にまわり,酔っ払っていることは自覚しておりましたが,まさか検挙されることはないだろうという甘い考えから,車を運転しました。」となります。

3)いかなる犯罪について,何が要件であり,いかなる供述=罰条が要求する主観的要素が必要であるかは異なります(加えて,被害弁償など)。

そして,上記のような供述をすれば,重く処罰されるのではないかという懸念があるかも知れませんが,実務上は,短期間の拘束で自由になれますし,先にも書いたとおり,任意に証拠物等を提出するなどすれば,思いもかけない起訴猶予とされた事例もあります。

当番弁護等の制度がありますので,罰条が,いかなる要件を要求しているのか確認されることをお勧め致します。