コンプライアンス

法令遵守」が日本を滅ぼす(新潮新書

著者の郷原信郎さんは,奄美大島名瀬支部長の先々代かと存じあげるが,まことに刺激的なタイトルである。

検事ならではのアイロニカルな標題と理解するべきなのかと思う。

著書の内容は,「相次ぐ事件・不祥事、混迷を深める経済社会、諸悪の根源は法令遵守の考え方そのものにある。」と要約されているとおりであるが,思い当たるところが多い。

1)食品偽装や企業不祥事の度に,役員一同がカメラの前で横並びとなり頭を下げる。

みんなで頭を下げておけば,責任の所在も分散されるということであろうか?

2)第三者委員会や有識者会議の乱立。

ましてや新聞社ですら,第三者委員会の判断結果なるものを大きく報道している。

いったい自律的判断精神は,どこに消えたのであろうか。

編集と経営との分離を達成し,さらに編集権の所在を明らかにした上で,一昨日の謝罪報道?がなされたのか否かが良く解らない。

法令を守る精神ではなく,1)は自己保身から,2)は会社存続のためのセレモニーに思えてならない。