鹿児島四人死亡放火(?)事件

不可思議な報道である。

異例であるが,ほぼ全文を引用したい。

 鹿児島市でアパートが全焼し、焼け跡から4人の遺体が見つかった火災で、鹿児島県警は16日、出火に気づきながら放置したとして、このアパートに住むアパレル店従業員の浜屋敷(はまやしき)和美容疑者(36)を現住建造物等放火の疑いで逮捕し、発表した。容疑を認めているという。

 鹿児島南署によると、浜屋敷容疑者は15日午前1時ごろ、同市谷山中央4丁目のアパート1階の自宅で、火の不始末から出火させたことに気づきながら、消火や通報をせず放置。火を燃え広がらせて木造2階建てのアパート(約370平方メートル)と、隣接する木造2階建て住宅(約110平方メートル)を全焼させた疑いがある。

 同署はDNA鑑定などで4人の遺体の身元を、浜屋敷容疑者の母親の森山当子(ときこ)さん(76)と、すぐ上の2階の部屋に住む店員の高山雅子さん(46)、長女彩香さん(20)、中学3年の次女夏希さん(15)と確認した。浜屋敷容疑者は母親と娘2人との4人暮らしで、火災の際は娘と避難した。

 同署は実況見分や目撃者の証言などから、浜屋敷容疑者の部屋が火元とみて事情聴取。浜屋敷容疑者は居間のこたつに座って火が燃え広がるのを眺めていた、と説明。「目を覚ました娘に声をかけられ、我に返った」「早く火を消していればよかった」と話し、火を放置したことを認めたという。

 同署は4人が死亡した結果の重大性や、浜屋敷容疑者が自分で火をつけてはいないものの、初期消火や通報など必要な措置をしなかったことを重視。重過失失火より量刑の重い現住建造物等放火容疑を適用した。

TITLE:火の不始末を放置した疑い、住人を逮捕 鹿児島4人死亡:朝日新聞デジタル

DATE:2014年12月16日(火)

URL:http://digital.asahi.com/articles/ASGDJ23G7GDJTLTB001.html

この報道事実だけでは,逮捕事実が果たして立件できるのか,起訴されるのか,はたまた公判維持できるのか否か不明である。

まず問題となるのは不作為による放火であるが,どこに故意を見いだしたのか不明である。

故意の背景となる,家族内トラブルなど,まるで裏付け捜査がされていないように思えてならない。

ましてや,家族と無関係な真上の二階に居住する女性に対しても,どれだけの認識(延焼レベル)があったのか,あるいは認容(怨恨レベル)があったのか,どれだけの裏付け捜査がなされたのか不明というしかない。

裏付け捜査不十分のまま逮捕を急ぎすぎたのではないかという懸念を払拭し得ない。

あるいは,自殺のおそれなど逮捕する必要性があったのかも知れないが,報道だけではうかがい知れない。

ましてや実名報道である。

この報道事実では,責任能力に問題があるのではないかと疑って然るべきではあるまいか。

逮捕したことも実名報道についても疑問を払拭し得ない。

おそらくは報道されない,あるいは報道できない事情があるのではなかろうか。

報道事実だけでは,四人殺害放火事件=絶対的死刑求刑事件について,検察がかように早く逮捕のゴーサインを出したとは考えにくい。