論理を突き詰めない

1)人間は,互いに尊重されるべき存在である。

女性は,人間である。

したがって,女性は尊重されるべきである。

西洋合理主義の論理だと素直に頭に入ると思われる。

ところが,「互いに尊重」という概念を,「守られるべき」という概念で把握して,論理展開すると奇妙なことが起きる。

2)女性は,守られるべき存在だ。

婚姻によって,女性は家の中で保護されるべきである。

戦闘によって戦争未亡人が生じるが,寡婦保護制度として一夫多妻制には意義がある。

保護の対象なのであるから,女性に教育など不要である。

かように,ごく少数の宗派の考えだと思われるものは,この保護の客体という概念から出発しているように思われる。

出発点となる概念を置き換え,さらに論理構成だけで突っ走ると,どうにも不可解な結論となりそうである。

我が国は,八百万の神々に守られた価値相対主義者の国であり,これからクリスマスを祝い,正月には神社へと初詣に参る。

ひとつの価値観だけが支配する文化でもなければ,論理展開には自ずと歯止めがかかる。

かような文化のあり方をバランス感覚文化と呼んでも良さそうに思う。